緊急時は常時対応を致します。
外傷とは
外からの大きな力により起きた組織の損傷を指します。
整形外科領域ではその中でも、
@ 骨(骨折)
A 靭帯(捻挫=靭帯損傷、靭帯断裂)
B 関節包損傷
C 軟骨(軟骨損傷)
などをみます。
骨折
骨折や捻挫などの外傷はどの年齢でも起こりうるものですが、
近年、骨粗鬆(骨がもろいこと)が関連した高齢者骨折が問題となっています。
高齢者に多い骨折の主なものとしては、
・大腿骨頚部・転子部骨折(股関節の骨折)
・橈骨遠位端骨折(手関節の骨折)
・上腕骨近位端骨折(肩関節の骨折)
・腰椎圧迫骨折
などが挙げられます。
主に高齢者に施行される人工関節(股・膝)術後の大腿骨骨幹部・顆上骨折(人工関節周辺骨折)も増えています。
特に下肢骨折は寝たきり原因の一つであり、これを回避するためにはできるだけ早期の機能回復が求められます。
また、ギプス固定で長期間関節を固定してしまうとギプス除去後の関節拘縮・機能低下は避けられません。
当院では機能障害を最小限に抑えるため、可及的早期に積極的に手術加療を行い、
術翌日よりリハビリを導入しております。
退院後の定期的なfollow upについても原則として当院で行っており、受傷から回復まで一貫した治療が可能です。
手術内容については骨粗鬆を考慮し、初期固定力のよい手術方法を選択し、
また骨折型に応じて最適な固定法を行えるように複数の手術方法で対応しています。
例えば橈骨遠位端骨折の場合、関節外骨折で骨折部に粉砕がないような骨折であれば、
従来は徒手整復を行いギプス(もしくはシーネ)固定を数週間した後に可動域訓練を開始しておりましたが、
骨折部の転位(ずれ)・短縮や手関節の拘縮といった問題点がありました。
現在は初期固定の良いロッキングプレートを用いた固定や低侵襲な髄内釘での固定を選択しております。
この髄内釘は2006年に日本で採用となりましたが、県内では当院が最も早く導入しました。
術後は患部の安定目的で約1週間程度シーネ固定を行うこともありますが、その後は従来の保存的療法とは異なり、
シーネを行わず、むしろ積極的に手関節の可動域訓練を行っています。
その他の四肢骨折については、骨折型により適応があれば、
初期固定力のよいロッキングプレートを低侵襲に固定する方法(MIPO)を積極的に導入し、
術翌日よりリハビリテーションを開始し、早期の機能回復にも努めています。
人工関節周辺骨折についても元の人工関節に不安定性が認められない場合はMIPOを導入し、
低侵襲かつ人工関節の温存に努めています。
腰椎圧迫骨折については椎体の更なる圧潰(つぶれ)を防ぐために、
受傷早期には骨折部位に圧迫がかからないようコルセットを作成するのみならず、
新しい骨粗鬆症治療薬である皮下注射による骨形成促進剤を組み合わせて使用しております。
通常の外来枠以外でも救急受入対応もしておりますので
新鮮骨折・外傷の治療でお困りの際には是非一度ご相談ください。
捻挫(靭帯損傷)
関節に無理な力が加わると、その袋(関節包)やその周りの靭帯に損傷をきたします。
靭帯損傷がいわゆる捻挫にあたります。靭帯の損傷がひどければ断裂していることもあります。
また腫れや内出血がひどい場合には骨折を合併していることも少なくありません。
靱帯断裂がひどく関節の不安定性がある場合には、ギプスなどの固定や、手術を要することもありますが、
いい加減に終わらせてしまうと、将来的に関節の変形を来すこともあります。
関節不安定化が慢性化した場合にはより大きな手術を要することになります。
このような外傷でお困りの際には是非ご相談ください。
脱臼
骨折と同じく強い外力を受ける事により、骨自体ではなく、骨の継ぎ目である関節の袋が破れて、
骨同士の位置がずれてしまうことをいいます。同時に骨折を合併する事も少なくありません。
症状は強い痛み、変形、関節運動制限を認めます。
骨同士のずれは大きい事も多く、その際に付近の血管や神経を痛める事もあります。
神経血管損傷は一度痛みきってしまうと戻らなくなる事もあるため、
基本的に可及的速やかに脱臼は整復するべきと考えられております。
同時に骨折を合併する事も少なくなく、その場合の多くに手術を要します。
治療が遅れたり、整復後に適切な治療がなされない場合、
関節のゆるさや、反復脱臼の原因となり、場合によって関節の変形に至る事もあります。
この判断は長期的な結果に大きな影響を及ぼす可能性があるため、専門医の診察を受ける事をお勧めします。
当院では患者様の状態が許される範囲で、麻酔を併用し可及的痛みが少なくなるような整復治療を心がけています。